「キンキンに冷えたビールが飲みたい!」と思えるくらい、暑くなってきました。すでに熱中症で救急搬送されたり、気分が悪くなって受診する人も増えてきています。こんな暑い日に外仕事をしていると、家に帰って冷たいビールが飲みたくなりますよね。一方、海外ではビールを常温で飲むという噂もあります。ぬるいビール…と、日本では考えられない話ですが、実際はどうなのでしょうか?
今回は、ビールと体との関係についてご紹介します。
ビールは夏の飲み物
日本の居酒屋では、年中キンキンに冷えたグラスにビールを注いで提供してくれます。しかし、薬膳の観点からみると、ビールは夏の飲みものと考えられ、冬に冷えたグラスはおすすめしません。
苦みのあるものは冷やす性質が多い
旬の食べ物というのは不思議なもので、味や色味もふくめ、季節に合わせた食養生にぴったりです。図にもあるように、夏のグループには苦みと書かれています。これは、「旬&苦みのあるものは体を冷やす性質があるので、夏の時期に食べるといい」ということを指します(もちろん食べすぎは禁物)。
「秋茄子は嫁に食わすな」も、嫁姑問題ではなく「冷やしすぎるから秋に茄子を食べない方がいい」という気遣いだといわれています。
ビールも苦みを感じますし、麦自体、体を冷やす性質と考えられていますので、「ビールは体を冷やす」といえるでしょう。ここでポイントは「冷たいという感覚に限らない」ということです。
海外のビールは常温?
ただでさえ、ビールは体を冷やすのだから、キンキンに冷えたグラスに入れる必要はありません。特に冬は寒いので、冷たいビールは避けた方がいいのです。
そんな話をするとき「海外はビールを常温で飲む」という話が必ずといっていいほど浮上します。ぬるいビールはあまりおいしくないように感じるのですが、実際のところどうなのでしょうか?
海外のビールも冷えている
ドイツ滞在経験があり、知人のドイツ人に話を聞いた方のブログをご紹介します。
「ドイツ人はビールを飲むとき倉庫の温度である14度以下が好まれる。夏の場合は冷蔵庫で冷やすから4度前後で飲むよ」
https://rakukatsu.jp/german-drinks-cold-beer-20210325/
ドイツの一般家庭には地下倉庫が備わっており、そこにビールを保管することで自然に冷やすことができます。ドイツは小さめの瓶ビールをそのまま口につけて飲むことが多いので、日本と同じ冷えたグラスで飲んでいる感覚のようです。
日本のスーパーのように、冷蔵コーナーにビールが並んでいないことも一因です。日本人の感覚でいくと、「冷蔵庫に入っていないビール=冷えていないぬるいビール」なんですよね。でも実際は日本より少し高い温度ですが飲みやすく体を冷やしすぎない程よいビールが飲まれているようです。
大手メーカーのおすすめの温度は「夏4~6℃、冬6~8℃」
飲料メーカーであるサントリーによると「ビールが一番おいしい温度:夏4~6℃、冬6~8℃」です。冬は体を冷やしすぎないよう、ビールの温度も少し高めにするといいでしょう。
・冷やしすぎた場合
泡立ちが悪くなったり、麦の成分が凝固してにごりが出たりする
・ぬるい場合
のどごしが悪く、泡立ちすぎる
何でもやりすぎはよくないので、メーカーのおすすめの温度で美味しくいただきたいですね。
美味しいビールで夏バテ防止!
ビールを冷やしすぎない方がいい理由として、胃腸の働きが落ちることがあげられます。これはお店で出される氷水も同じで、食前に冷たいものを飲んでしまうことで胃腸の動きが悪くなることがあります(人も寒いと動きがにぶくなりますよね)。
胃腸の動きが悪くなると食欲も落ち、夏バテにつながっていきます。東洋医学では、消化器は暑さにも湿度にも弱いと考えられているので、適度に冷やしたものを食べたり炭酸で刺激をあたえることは悪くありません。日本人は良くも悪くもやりすぎてしまうので、体を冷やしすぎて夏バテへ…となってしまうのです。
お腹が冷えて下しやすい方は、乳酸菌などを摂って腸内環境を整えておくことも大切です。
体は冷えると温まろうとするもの。だからこそ、ほどほどの温度調整で快適に夏を過ごしたいものですね。